設計事例
横手の家
横手の家
豪雪地域で知られる横手で「雪に埋もれる家」をコンセプトに、冬でも快適に暮らせる家をつくりました。
『横手の家』は、秋田県の南部:横手市に建つ住宅で、この地域は『かまくら』で知られる通り多雪地帯である。敷地は閑静な住宅地の一角にあり、ほぼ南北に軸線を揃えた長方形で面積も戸建て住宅としては十分に広い。この中に生活空間をどのように配置し、外部空間とどのように結びつけるかをテーマに配置計画を行った。
コンセプトは、ストレージブロック・パブリックブロック・プライベートブロック、3個のボリュームを中庭を中心に配置し、庇レベルの低い屋根の「繋ぎ空間」で連結している。ストレージ・パブリック・プライベート、それぞれのボリュームには別々の形状の屋根をのせて、建物全体のリズムを出している。それぞれのボリュームに載せた屋根は、中庭に雪を落さない、また、ハイサイドライトに光を導くのに適切な勾配を与える事で形状を決定している。3個のボリュームのうち、前面道路に面したストレージブロックの配置を約5°振る事によって、中庭の広がりと前面道路への緊張感、玄関導入部の変化を狙っている。
多雪地帯で住人がまず考える事は、冬季間の雪の処理であり、中庭を設けた場合この空間の雪処理も問題となってくる。今回の住宅では敷地が十分に広く、中庭に自然に積もった雪はそれほど生活には影響を与えないだろうと考え、屋根の雪処理を優先して考えた。それぞれのボリュームの屋根に積もった雪は、住空間に影響の少ない方向に自然落下するような屋根形状とした。
内部空間は、木材や漆喰など素材の色を活かした色調とし、できるだけディテイルを出さないシンプルな空間とした。居間や寝室、子供室などそれぞれの室内空間の形状は、そのボリュームのもつ屋根形状をそのまま室内に反映する形で決定し、外部形状と室内形状を一致させている。