設計事例
屋敷森の家
屋敷森の家
自然豊かな屋敷森の中に、網戸付きの格子に覆われたウッドデッキを持つ木の家をつくりました。
『屋敷森の家』は築150年の母屋に寄添って建つ若夫婦のための住宅で、敷地の南側には母屋を建てた時と同時期に植えられた屋敷森に囲まれている。元々この場所には、農作業小屋と車庫が建っており、車庫の部分をのこして小屋部分を住宅に建替えることによって、母屋の意匠に違和感なく新しい意匠を差込むことを狙って計画した。また、新しい住宅の位置・大きさを設定するにあたっては、屋敷林の樹木を伐採ない位置に住宅を計画するよう配慮している。
母屋は築150年とは思えないほどしっかりと手入れされており、将来的には母屋の一部もこの家の居住スペースとして活用する。子供が成長したら母屋の一部を子供部屋として活用する計画である。
1階と2階を吹抜け空間で繋ぐ単一空間とすることで、居住スペースに大きな広がりを与え、施主の気望でもあるワンルーム的に使える住宅に寄与している。
居間の南側、屋敷林との間には奥行き約 2.4 m、巾約 7.2 m のデッキが設けられており、この廻りには不均等に割り付けられた秋田杉の格子を取付けてある。この格子には網戸用のネットが張られており、2階のベランダも含めたこの空間の夏場の虫対策、冬の雪対策として機能するよう設置されている。1階南側の3間分は扉になっており、虫や雪の少ない季節には開けることができより開放的な空間となる。自然豊かな屋敷森と共に暮らすことは、ここに住む虫たちとも共存することを意味し、歓迎されない虫たちから逃れ、快適な生活空間を実現できるよう考えなければならない。また、風の通り抜ける地形であるので、落ち葉対策としても有用に対応する。
東側、北側の外壁は杉板張りの上にデッキと同様にランダムに格子を取付けることによって、杉板の暴れを防止するとともにデッキと建物の一体感を演出し、単調になりがちな板張りの壁にアクセントを与えている。